昔ひとりの主人と、他に3人の人がいた。それらの名前は誰か?太陽と雨と死。全部で3人だった。彼らはある主人の家を訪ねたいと思った。
太陽が一番最初に主人の家を訪ねた。
太陽が戸をたたくと、主人は訊ねた。「おまえは誰だ?」
「太陽です。」
「私は戸を開けない。おまえはある場所には顔を出して照らすが、また別の場所では顔を出さないではないか?おまえはうそつきだ。」
そこで太陽は帰っていった。
次に雨がやってきて戸をたたいた。
「おまえは誰だ?」
「雨です。」
そこで主人は言った。「おまえは雨を降らす場所を選ぶではないか?おまえはうそつきだ。私は戸を開けないぞ。」
雨も去っていった。
最後にやってきたのは誰か?そう、死だった。主人の家に着くと、戸をたたいた。主人はやはり訊ねた。
「おまえは誰だ?」
「死です。」
すると、主人は答えた。
「よかろう、おまえを中に入れよう!おまえはうそつきじゃない。おまえは老人とか若者とか、男とか少女とか女房とか、醜いとか美しいとか言って物事を選んだりしない。だから私はおまえを中に入れよう。さあ、入りなさい!おまえはうそつきなんかじゃない・・・・。」
「おまえは誰だい?」
豹は「俺は豹だ」と答えた。
すると兎は「何を運んでいるんだい?」と尋ねた。
豹は「肉を運んでいるのさ」と答えた。
そこで兎は、豹に向かって言った。「そこに置いていけ!もしそうしなければ、こうだぞ、こうだぞ!」
そしてあの長い耳をにょきにょきと板根の陰から出してみせた。豹はそれを見て、肉を放り出して逃げていった。
そんなことがあって、豹は再び森に戻ってきた。そして、獲物をとった。家に帰る途中、またこの間の兎がいて、豹に尋ねた。
「そこのおまえは、誰だ?」
「俺は豹だ」
「ところで何を運んでいるんだ?」
「肉を運んでいるのさ」
すると兎は言った。「そこに置いてけ」
豹は肉を置いて、家に逃げ帰った。 それから毎日、豹は兎に獲物をまきあげられることになった。
ある日、ライオンが豹の家にやってきた。そして、ライオンは豹に尋ねた。
「全くおまえは、何をそんなに逃げ帰ってくるんだ?」
豹は答えて言った。「森で獲物をとって、帰ってこようとすると、道のわきの木の根っこのところにへんなものがあるんだ。こっちのほうにやってきて、『おまえは誰だ?』と尋ねるのさ。俺が『豹だよ』と言ったら、『何を運んでいる』というので、『肉だよ』と言うと、『そこにおいてけ。そうしなければ、こうだぞ、こうだぞ!』といって、こんなに長い耳を持ち上げるのだ!」
そこでライオンは言った。「よしわかった。一緒に森に行ってみようか。そいつを、俺に見せてみろ」 豹は言った。
「よし」
そして、そろって森に行った。
獲物をしとめて、帰る途中、また陰から「おまえは誰だ?」と尋ねる者があった。
豹は言った。「俺は豹だよ」
「何を運んでいる?」
「肉だ」
「そこに置いて行け!でないと、こうだぞ、こうだぞ・・」いつものように、耳を持ち上げた。
そのときライオンがとびだして、耳を加えて引っぱり出した。兎が姿をあらわすと、豹は激怒した。豹は嘆いた。「ああなんてこった!こんなちびすけに恐れおののいていたなんて!!」
それからは、今度は獲物を家に持って帰ることができた。